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研究内容

基礎研究

ポリマーは紐状の分子であり、状況に応じてさまざまな形態をとります。 その一例が結晶です。 結晶とは、分子鎖が折りたたまれ、規則的に並んだ部分です。 同じポリマーでも、加熱や冷却、引張、液体への溶解、その他さまざまな処理によって、異なった性質をもつさまざまな結晶を作ることができます。 そうしてできたポリマー材料の力学的な分析を通して、ポリマーの物理挙動という根本的な部分と触れあうことができる研究分野です。


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ゲル

ポリマーゲルはその組成の90%以上が液体であるにも関わらず、固体のような振る舞いを示すゼリー状の不思議な物質です。 従来の高分子ゲルの多くは非常にもろく、実用化には適しているとは言い難いものでした。 当研究室ではゲルを作製するときの温度を制御することによって、高いゴム弾性を持つ強固なゲルの作製に成功しました。


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ナノ粒子

見た目はただの水?でもそれを振ったり、温めたり、特別な液体を加えたりすると…ゼリーのように固まる不思議な液体! その正体は「ナノ粒子」を含んだ溶液です。 液中に分散したナノ粒子が特定の条件下で連なってネットワーク構造を作ることで液体は「ゲル」と呼ばれるゼリー状態に変化してしまうのです。 堀田研では、無機ナノ粒子・高分子ミセルを含んだ溶液において構造と物性の関係を解き明かすことで、医療・産業分野に貢献する材料の開発に取り組んでいます。

機能性材料

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抗菌性ポリマー

抗菌性材料とは細菌の繁殖を防ぐ材料であり、健康的な生活の支えとなっています。 中でも、電車のつり革やスマホの液晶画面に応用されている抗菌性ポリマーは感染症拡大の防止において重要な存在です。 堀田研究室では、ポリマーに抗菌性を組み込む方法を工夫することで、長期的な抗菌性獲得を目指しています。


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ナノファイバー

エレクトロスピニング法という手法を用いると、直径がナノオーダーの微細な高分子繊維(ナノファイバー)を作製することができます。 堀田研究室では,特にスーパーエンジニアリングプラスチック、通称スーパーエンプラと呼ばれる、強度と耐熱性が非常に優れたポリマーのナノファイバー化に取り組んでいます。ナノファイバーはフィルム形状のものと比較すると、表面積が大きく、強度が増すなどの特徴を持ち、微粒子など特定の物質を吸着するフィルターなどに使用されています。 また、他の材料に複合化することによる材料の強化材としても注目されています. スーパーエンプラのナノファイバー化は機械材料の高機能化に向けて今後の高分子化学における有用な研究となり得ます。


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自己修復材料

宇宙ステーションで用いる材料にき裂が発生したらどうなるでしょうか?もちろんその材料を直しに宇宙へ行く必要があります。 しかし、宇宙へ行くのはコストおよびリスクがともないます。 そんなコストやリスクを軽減することができるのが自己修復材料です。 自己修復材料とはその名の通り、自身で破損個所を修復することができる不思議な材料です。 しかし、それは魔法でもなんでもなく、物理的な力を利用した科学的な材料です。私たちの研究室ではこのような材料を開発し、宇宙環境での使用に向けた研究を行っています。 また、自己修復性材料は製品の長寿命化に寄与するため循環型社会の構築に貢献できます。

エコマテリアル

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バイオマスプラスチック

自然由来の資源は、石油に代わるプラスチックの原料として注目されています。 現在多くのプラスチック材料は石油を原料としています。 自然由来資源は大気中の二酸化炭素を固定化した資源であるため、燃焼により生じた二酸化炭素は大気中の二酸化炭素濃度の上昇に寄与せず、カーボンニュートラルな資源であると言えます。 堀田研究室では、木材を構成する2大成分のセルロースとリグニンに着目しています。 セルロースの繊維は、ポリマーに組み込むことでその強度を何倍にもすることができます。 また、リグニンはその構造の複雑さゆえに応用が難しかったものの、最近ではポリマーの原料への変換が進められています。 当研究室では、リグニンから合成可能な物質を用いてゴム材料を開発しています。


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生分解性プラスチック

生分解性プラスチックは通常のプラスチックと異なり、環境中に排出されても微生物によって分解されてなくなるため、ゴミが残りません。 そのため環境に優しい材料として近年注目を集めています。 堀田研究室では、この生分解性プラスチックによるマテリアルリサイクルを提案しています。 しかし生分解性プラスチックは分解速度が一定であるため、用途が制限されます。 堀田研究室では、生分解性プラスチックの分解速度を自在にコントロールし、より広い応用を可能にすることも目指しています。

医療デバイス

堀田研究室医療班では、医工連携として、実際に医療の現場で活躍されている医師の方々と共同で研究を進めています。以下に示すような医療器具に対し医師のニーズを実現するべく、当研究室のポリマーコーティング技術や加工技術を活用していきます。人体の代謝システムを理解した上で、工学的なアプローチを模索する、非常にやりごたえのある研究となっています。


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血管拡張ステント

糖尿病などの生活習慣が原因で手足の血管が細くなり、虚血状態となる危険性があります。そこで用いられるのが血管拡張ステントです。しかし、金属を材料とするステントは血管・血液との相性が悪いため、新たな血栓を生じる原因ともなります。 堀田研究室では、金属ステントに対して異物反応を抑制するポリマーコーティングを施し、生体適合性を高める研究をしています。さらに、ポリマーに薬剤を充填することで、並行して薬理的な治療をおこないます。これにより、ステントを安全に血管内に留置することができ、長期にわたって血流を確保することができます。


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ポリマービーズ

血管に直接薬剤を投与するのではなく、ポリマーのビーズに薬剤を充填させたものを届けることで、より効率的な薬剤投与を実現する試みがなされています。この概念を「ドラッグデリバリーシステム」と呼びます。 堀田研究室ではポリマーの成形加工により、均一な粒径を持つマイクロビーズを作製します。同時に、粒子の分散性や薬剤充填性能、がん細胞にのみ的確に薬剤を送り届ける性能を追求することで、実際に人体に投与した際、副作用の少ない治療となるように日々研究を進めています。


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造影剤

皆さんは造影剤をご存知でしょうか。CT検査やMRI検査の時に体の中に入れることで特定の組織を描出することができます。人体の中には、その組織が「見える」というだけで多くの病気を未然に防ぐことができます。その代表的な例がリンパ系です。 リンパ系は血管系に次ぐ循環器であり、人体の代謝に深く関わっています。しかし、リンパ管は細く透明なため、血管のように直接造影剤を注射することができません。堀田研究室では、皮下注射した造影剤をリンパ菅に取り込ませることで、間接的にリンパ系造影を試みる研究をおこなっています。粒径制御や界面活性剤を用いたアプローチにより、造影剤がリンパ系に効率的に取り込まれる工夫を施します。