研究紹介:スチレン−イソプレン−スチレントリブロック
共重合体の構造と力学物性
by 織毛美徳
原子、分子、生命・・・これらは自然な秩序化を経て「自己集合体」を形成します。
私の研究では、この自己集合体の中でも共重合した高分子材料(2種の違う高分子
を化学結合で結んだもの)における自己集合構造(図1)に注目し、このミクロな構造
の違いによってマクロな物性がどのように変化するか調べています。過去の研究では、
共重合体の中でもスチレン−イソプレン−スチレン(SIS)トリブロック共重合体を
対象とし、その自己集合構造をとる転移温度が解明されています。しかしながら未だ
その構造が及ぼす力学物性は解明されていません。そこで引張試験を用いて力学物性
解析を行うと共に、構造を実際に原子間力顕微鏡で確認し、力学物性と構造の関係を
解明することを本研究の目的としています。これまでの研究で明らかになったことは、
引張試験よりSISの弾性は自己集合構造において柱状>BCC球状>無秩序球状>無秩序
という関係を持ち、破断応力も同様の関係を持つことです。また原子間力顕微鏡で
柱状構造を観察したところ横配列と六角形に配列した縦配列の共存が確認できました(図2)。
今後は粘弾性測定や他の自己集合構造の観察を通して構造と物性の繋がりを解明して
いくつもりです。
図1.ブロック共重合体の自己集合構造 図2.SISの柱状構造