研究紹介:高分子材料へのマイクロ・ナノ硬質材の分散   

                             by 中村 浩二 

一般的にある材料を高機能化させるために異なる材料を組み合わせて、単独では得られない物性を持たせた複合材料(コンポジット)というものが広く研究されています。その複合材料の代表例として、繊維強化プラスチックが挙げられます。船などに使われている材料だと言われればピンとくる人もいるかと思います。複合材料の中でも、材料に別の材料をナノスケールで組み合させることによって作製されるナノコンポジットというものが近年非常に注目を集めています。

ナノコンポジットを作製すると、その材料の機械物性、熱物性が向上することが過去の研究から報告されており、その可能性は今後もかなり期待されています。そこで私が行っている研究は、私たちの身の回りにあふれている高分子材料にナノ硬質材を分散させるというものです。その一例を以下に挙げます。

高分子材料の表面にDLC(ダイヤモンドライクカーボン)を蒸着させてその表面改質を行うことによる高機能化が行われています(具体的内容はホームページ内のDLCに関する研究をご覧ください)。現在までにPETボトルや医療機器、切削工具や自動車・バイクの部品などに使用されています。そこで私の研究では、今までのようなDLCによる表面改質を目的とするのではなく、材料の内部にDLCを分散させるというものです。そうすることで、今までは得られなかったような物性の向上が期待されます。このような研究は他ではなされていない研究で、全く新規の材料作製法だと考えられます。