研究紹介:急冷ゲルの作製および物性の評価
by 高江洲 圭太
高分子ゲルというものは高分子の骨格の周囲に溶媒(液体)が分散しているものであり,身の回りのものですと寒天やゼラチンなどの比較的柔らかいものから,コンタクトレンズのような固いものまで様々なものがあります.
これらの高分子ゲルはさらに「化学ゲル」と「物理ゲル」に大きく分けることができ,それぞれ強い化学結合,弱い結晶・水素結合等で架橋(高分子の骨格同士が結合)しています.この結合の違いはそのゲルの性質にも表れており,物理ゲルは化学ゲルに比べて脆弱である一方で熱などの外部刺激によりゾル(液体状)とゲル(固体状)の二つの状態を行き来することができます.
例えて言うと,ゼリーを思い浮かべてもらえればわかりやすいかと思います.一度高温で溶かした後,型に流し込み冷蔵庫などで冷やすと固まりますね.もう一度温めるとまた溶け出します.この性質を利用して,再成型可能なエコマテリアルや温度反応性を利用して非常用のバルブとしても応用が可能です.
本研究ではこの物理ゲルの特徴を活かしつつ,弱いという弱点を補う構造を,作製時の冷却速度を変化させることで実現しようと考えています.