研究紹介:生分解性プラスチックであるポリブチレンサクシネートのマテリアルリサイクルに関する研究
by 金村 知明
近年では環境ブームということもあり,巷でよく「リサイクル」という言葉を聞くようになりました.リサイクルといっても世の中には以下の表に示すように,大きく分けて3種類のリサイクルがあります.
プラスチックの廃棄物処理問題への対策として,この中でも安価で容易なマテリアルリサイクルによるリサイクルが推奨されています.しかし,リサイクルできなかったプラスチックは環境中に放出され,結局根本的な環境問題の解決には至っていません.そこで,環境中に放出されても二酸化炭素と水に分解されることから,環境負荷が小さい生分解性プラスチックに注目しました.
生分解性プラスチックとは「使用状態では従来のプラスチックと同等の機能を有し,使用後廃棄された時は土中または海水中などの微生物により分解され,最終的に水や二酸化炭素になるプラスチック」です.通称「グリーンプラ」と呼ばれ環境にやさしい材料として注目されています.
図1 生分解性プラスチックの分解の様子
したがって,生分解性プラスチックをリサイクルすれば,再利用はもちろん,リサイクルできなかったプラスチックが環境中に放出されたとしても,生分解することから環境負荷を大幅に低減することができます(図2).以上のことより,生分解性プラスチックをマテリアルリサイクルすることは従来のサイクルよりさらに環境にやさしいといえ,廃棄物処理問題のより効果的な解決策であると言えます.そこで本研究では生分解性プラスチックであるポリブチレンサクシネート(PBS)に繰り返し成形および水環境に浸漬後再成形を施すことが、その機械的特性に及ぼす影響について検討しました。