研究紹介:   

                             by 秋山 正毅 

 

近年,形状記憶ポリマーというものが実用化されるようになりました.例えばスプーンやフォーク,包丁などの柄の部分に形状記憶ポリマーを用いることで個人の手にフィットした使いやすい柄を実現することができ,また手に障害を持った方にも利用しやすいスプーンなどにすることができます.また,最近ではネジとしても形状記憶ポリマーが用いられることがあります.こちらは熱をかけることでネジ山がなくなり,簡単に取り外しができるようになり,製品の解体が容易になります.

現在実用化されている形状記憶ポリマーにはポリウレタンやポリエチレンがあります.ここで私はポリエチレンと同様に汎用性の高いポリプロピレンの形状記憶に着目しました.

ポリプロピレンの場合,ポリエチレンと異なり立体規則性という性質を持ちます.ポリプロピレンのメチル基の配置の仕方により,イソタクチックポリプロピレン(iPP),シンジオタクチックポリプロピレン(sPP)などに分類することが出来ます.立体規則性が異なることで物性にも影響を及ぼし,例えばiPPの融点は約165℃であるのに対しsPPの融点は約135℃となります.したがってこの立体規則性がポリプロピレンの形状記憶現象に影響を与えると考えられ,私はその立体規則性が及ぼすポリプロピレンの形状記憶現象への影響を研究しています.